なぜ、良い姿勢を意識してもすぐに戻ってしまうの?
- 素朴な疑問
- 2026/02/23
- 2026/02/23


最近、鏡の前で背すじを伸ばしても、気がつくとまた元の姿勢に。
「私、意識が足りないのかな…」
そんなふうに自分を責めてしまうこと、ありませんか。
でも、それはあなたの意志の問題ではないんです。
脳の中にある”身体の地図”が、今の姿勢を「これが正しい」と覚えてしまっているから。
その地図を少しずつ更新していくだけで、無理なく姿勢は変わっていきます。
脳の中には、身体の地図がある
私たちが身体を動かすとき、ひとつひとつの筋肉を意識しているわけではありません。
脳の中には
「自分の身体はこのくらいの大きさで、こういう形」
という地図のような情報があって、それをもとに動きを組み立てています。

脳はこの地図を頼りに、
「ここに腕を伸ばそう」
「この位置で立とう」
と、無意識に指令を出しています。
ところが、この地図がズレていると、正しい姿勢をとっているつもりでも、脳は「なんだか違う」「不安定だ」と感じてしまうんです。
そして、違和感を消そうとして、元の姿勢に戻そうとする。
これが、意識しても姿勢が戻ってしまう理由です。
地図は、日常のクセで少しずつズレていく
この身体の地図は、生まれつき決まっているものではありません。
身体の地図は、日常のちょっとしたクセで少しずつズレていきます。
たとえば、こんな場面です。
寒さで丸まる姿勢が「普通」になる
寒いと自然に肩をすくめて、身体を丸めてしまいますよね。 その姿勢が何ヶ月も続くと、脳は「丸まった姿勢が普通」と覚えてしまいます。 気づかないうちに、身体の地図が書き換えられていくのです。
画面の位置で「正面」がズレる
パソコンの画面がいつも右側にあると、 脳の中の地図も「右を向いた状態が正面」だと認識してしまいます。 本人はまっすぐのつもりでも、実際にはねじれた姿勢が習慣になります。
片足重心が「まっすぐ」になる
いつも片足に体重をかけて立っていると、 脳は「傾いた状態=まっすぐ」と記憶していきます。 バランスのズレが、姿勢の戻りやすさにつながります。
この「身体の地図」は、専門用語では「ボディスキーマ」と呼ばれ、リハビリの現場でも使われている脳の働きです。
こうして出来上がったズレた地図をもとに身体を動かすと、鏡で見てまっすぐな姿勢をとっても脳はそれを「傾いている」「おかしい」と感じてしまいます。
そして、違和感を消そうとして元の姿勢に戻そうとするのです。
なぜ、ゆっくり整える必要があるのか
「じゃあ、ずっと良い姿勢を頑張ればいいの?」
そう思うかもしれません。
でも、答えは違います。
骨折やケガのリハビリが、1日で終わらないのと同じように、脳の地図も一気には書き換えられません。
急に変えようとすると、脳はそれを「危険」や「不安」と感じてしまいます。
だから必要なのは、小さな動きを、繰り返し体験させること。
それを脳が「新しい普通」として覚えていくことで、少しずつ姿勢が変わっていきます。
今日からできる簡単ボディマッピング
大切なのは、今の姿勢を無理に直そうとすることではありません。
「正しい位置を思い出す練習」をしていきましょう。
1回で劇的に変えるよりも、「1日20秒 × こまめに」の方が、脳は新しい姿勢を覚えやすくなります。
では、実際に肩の動きを変えていく体操をしてみましょう
-
STEP 01
-
鎖骨を触って、肩を前後に動かす
(10秒) -
・片手で反対側の鎖骨〜肩先にやさしく触れます
・触ったまま、肩を前 → 後ろへゆっくり動かします(3〜5回)
ポイントは「鎖骨」から「肩甲骨」が動いているのを感じること。
「ここから動いているんだ」と、身体の感覚をなぞるように感じてみましょう。
-
鎖骨を触って、肩を前後に動かす
-
STEP 02
-
鎖骨を触って、肩をくるっと回す
(10秒) -
・同じ位置を触ったまま、鎖骨を中心に肩から腕全体で肘で大きな円を描くように回します
・前まわし → 後ろまわし(それぞれ3〜5回)
触っている部分から動かすことで「どの辺りの筋肉が動いているのか」を、感じてみましょう。
-
鎖骨を触って、肩をくるっと回す
がんばるエクササイズではなく、”体のナビをアップデートするスイッチ”を押す、そんなイメージです。
「今、身体のどこが動いているか」
「どのあたりの筋肉を使っているか」
と意識を向けるだけ。
この小さな積み重ねが脳の地図を少しずつ更新し、自然に姿勢を整える近道になります。
まとめ:姿勢は「脳の地図」から変わっていく
この小さな積み重ねが、脳の地図を少しずつ更新し、自然に姿勢を整える近道になります。
つまり大切なのは、
「正しい姿勢を作ること」ではなく、
「正しい位置を思い出すこと」。
姿勢は、意志や根性で変えるものではありません。
脳と身体の感覚を、もう一度つなぎ直すことで、無理なく、自然に整っていくものなのです。
今日は1ミリ変われば十分。
焦らず、比べず、あなたのペースで身体と向き合っていきましょう。
たとえるなら、カーナビやスマホの地図アプリのようなもの。
目をつぶっても手足の場所がわかるのも、
狭いところで自然と肩をすぼめられるのも、
この地図のおかげなんだよ。