身体はバランスで動いている

男女の身体と組織

肩がこる、腰が痛い、歩いたり走ったりしたあとに膝や足首などの関節に違和感がある。

日常的に聞かれるこのような経験、誰にでもありますよね。

では、なぜこのような状態が身体に起きるのでしょうか。

今回は、身体の構造と不調についてのお話です。

身体の構造

人体の構造の中で、軸を作っているのはもちろん骨ですよね。

でも、思い出してみてください。理科室などにあった骨格模型は、上からつられたり下から支えられたりして立っていますよね。

このように、骨だけでは立つことも歩くこともできません。

これらの骨をベースにして関節を形成する組織やつないでいる靭帯、関節をまたぐ筋肉によって関節が動いています。

でも、関節と筋肉だけでは関節を動かすことはできますが立つことは案外難しいのです。

二足歩行ロボットがなんだかぎこちない動きをしたり、人形を立たせようとしてもちょっとしたバランスで倒れますよね。

身体は、相互に関係しあっている筋肉だけでなく、覆われている筋膜などによってバランスを形成して立ったり歩いたりという動作ができるようになっているんです。

コリや違和感の原因

身体が、様々な組織によってバランスがとれている状態のときは、身体にかかる負荷は分散する構造になっています。

例えば、背骨のS字カーブは地面からの衝撃を頭に直接送らないようにサスペンションのような役割をしていると考えられています。

筋肉や筋膜も協働して負荷を分散しているのですが、これらのバランスが崩れてくると負荷の分散ができずにどこかに集中しやすくなります。

例えば、肩こりは首や肩周りの筋肉の過緊張によることが多いのですが、猫背や巻き肩によって首をすくめた状態になっていると頭の位置が背骨の延長線上から外れた位置で頭を支える必要が出てきます。

すると複数の筋肉や組織で頭の重さを支えていた状態から、一部の筋肉で支えることになってしまいます。

5人で支えていた重さを2人で支えるとイメージしてみてください。一気に負担が増えてすぐに疲れてしまいますよね。

関節の違和感も、関節を安定させる組織が緊張などで偏ったりすると関節が可動域の範囲内でズレて、一部に負荷がかかってしまうことになります。

これが長時間続くと次第に違和感になっていくことになるわけです。

このようにコリや違和感は身体への負荷が分散できずに、一部に集中することで過緊張になったり関節にねじれが生じたりして起きていることが多いのです。

全体として見よう

コリや違和感など身体の不調が起きるとき、原因は本当にその場所だけにあるのでしょうか。

例えば、肘や手首に違和感があった時、実は肩や背骨が原因ということは意外に多いのです。

猫背によって背骨の湾曲が強くなると肩甲骨を引き下げる筋肉の動きが悪くなり、肩甲骨が下げにくくなります。

そうすると巻き肩になりやすくなり、肩が身体の前側に引っ張られます。

この状態で腕を動かそうとするとどうしても肩関節を不自然な状態で動かすことになるため、腕の外側や内側などに偏って力を使うことになります。

結果的に、前腕部(肘から手首にかけての部位)や手首に負荷がかかり手首や肘に違和感がでてきます。

この場合はまず背骨の状態を戻して肩甲骨の位置を正しい状態にしない限り、手首や肘を揉んだりしてもすぐに同じ状態に戻ってしまうわけです。

特に腕や脚などの四肢は体幹部が原因であることが多いので、根本的な原因を取り除くためには全体のバランスを整えることが大切なんですよ。

まとめ

身体は骨や筋肉、筋膜などなど組織のバランスによって立ったり歩いたりという動作をコントロールし、負荷を分散する機能的な構造をしています。

このバランスが崩れれば、一部に負荷が集中して怪我や不調の原因になってしまいます。

部分ではなく全体でみるようにしてくださいね。