インスリン抵抗性に運動が良い3つの理由

ウエストを測る男性

インスリン抵抗性ってご存知ですか?

血糖値をコントロールするホルモンである「インスリン」という言葉はよく聞くと思います。

インスリン抵抗性は、血中にあるインスリンの量に見合った効果が得られない状態。

「インスリン抵抗性」が高いと同じ血糖値を下げるためのインスリンの量が多くなります

インスリン抵抗性は糖代謝のほかに脂質代謝を悪化させ、糖尿病や脂質異常症に進行します。

また、インスリン抵抗性の主要な原因と言われている内臓脂肪の過剰蓄積と併せて、生活習慣病の主要な原因となっています。

今回は、このインスリン抵抗性の改善に運動がいい3つの理由をご紹介していきます。

糖の利用を促進し、筋肉のインスリン感受性(※1)を高める

運動すると、血液中の糖や遊離脂肪酸がより多く筋肉で利用されるので、
血糖値が下がりやすい状態になります。

嬉しいのは、運動による筋肉への糖の取り込み促進効果が高まった状態は、運動をを終えても、数時間にわたり継続されるということ

なので、1日1回激しい運動をするよりも歩くや階段を使うなどこまめに身体を動かすことで、筋肉のインスリン感受性を1日中高めておくことができますよ。

ここに注意

運動によって筋肉のインスリン感受性を高める効果は運動で使われた筋肉でのみなので、より多くの筋肉を動かすようにしましょう!

糖の貯蔵庫である筋肉の量を増やしてくれる

一般的に筋肉と呼ばれる骨格筋は、血糖取り込みの75~95%を担っているため筋力トレーニングによって筋肉の量が増大すると、糖を取り込む「容量」が増えます

「器の大きさ」が大きくなるので、それだけ血中の糖を取り込むことができるようになるわけ。

特に、スクワットや腕立て伏せなどで胸、背中、脚などの大きな筋肉を複合的に鍛えましょう

バランスボールで腕立て伏せをする女性

インスリン抵抗性の原因となる内臓脂肪を効果的に減らす

運動による体脂肪の減少効果は、皮下脂肪よりも内臓脂肪に出やすいと言われます。

内臓脂肪が減少すると、インスリン抵抗性の原因となるTNF-α(※2)などが減少するので、インスリン抵抗性の改善が期待できるわけです。

たとえ体重が減らなくても、運動を継続することでインスリン抵抗性の改善は期待できるので、体重の増減に一喜一憂するのではなくまずは継続することを重視しましょう!

実際の運動の頻度や強度はこちらからどうぞ!

注意事項

すでに、投薬を始めている場合は、必ず医師に相談してから始めるようにしてください

また、運動経験の少ない方が急に運動をしたりすると低血糖(※3)を引き起こす場合がありますので、低血糖対策に簡単に摂取できる炭水化物食品を持っておくと良いと思います。

はじめはゆっくりでいいので、無理せず上手に生活の中に運動を取り入れてくださいね。

用語集

※1
インスリン感受性
血中にあるインスリンの量が少なくても効果が出やすい状態。
同じ血糖値を下げるためにインスリンの量がより少なくなる場合
「インスリン感受性」が高いといいます。
この状態は皮下脂肪が付きやすい状態ともいわれていますが、
運動による筋肉のインスリン感受性の亢進は使った筋肉にのみ生じるので
太りやすくなる状態とは違うので安心してください。

※2
TNF-α:
脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカイン (生理活性物質) の 1 つ。
筋肉、脂肪組織や肝臓での糖の働きを抑制したりインスリン感受性が低下します。

※3
低血糖:
血糖値が下がりすぎた状態。欠伸や発汗、手足のしびれなどが見られ
酷くなると意識障害やけいれん、昏睡状態になることもあります。