
【素朴な疑問】正しいフォームや動きができない
- 素朴な疑問
- 2023/06/29
- 2025/10/11


「思ったとおりに動かない」こんなことありませんか?
- 背中を伸ばそうとして、腰ばかり反ってしまう
- 両手を上げたときに、「首をすくめないで」と言われてしまう
- お尻の筋肉を使いたいのに、太ももばかりが疲れる
- 「ここを動かして」と言われても、どう動かせば良いのかわからない
頑張って意識しているのに、なぜか思った通りに身体が動いてくれない…。
そんな経験、ありませんか?
実は、これには理由があるんです。そしてその理由は、「努力が足りない」とか「意識が足りない」とか、そういうことじゃないんですよ。
そもそも「正しいフォームや動き」って?
まず、「正しい」って何でしょう?
見た目がきれいとか、教科書通りの形、ということではありません。
- 🏋️♀️ 筋トレなら…
- 筋肉が協調して動いて、狙った筋肉にしっかり効いている状態。
具体的には「股関節周りの複数の筋群(大臀筋・中臀筋・内転筋など)が連動して働く」ことで、動作が安定しやすくなります。フォームの確認と段階的な負荷設定が重要です。 - 🧘♀️ ヨガやピラティスなら…
- 身体をしっかりコントロールできて、無理のない自然な動きができている状態。
呼吸と連動した動きで深層の安定筋(体幹・骨盤底・横隔膜)を使い、可動域を安全に広げられることがポイントです。
つまり、「正しい動き」とは…
- 狙った部分がちゃんと働いている
- 身体全体が強調して動いている
- 自分でコントロールできている
- 無理や違和感、痛みがない
そんな状態のことなんです。
逆に言えば、「違う場所ばかり疲れる」「どこかに無理がかかる」「コントロールできない」というのは、正しく動けていないサイン。
では、なぜそうなってしまうのでしょうか?
身体は「動きやすい場所」で代償する
私たちの身体には、とても優秀な”適応力”があります。
動かしたい部分がうまく動かないとき、身体は無意識に「じゃあ、動ける別の場所で補おう」と判断して、動きやすい場所を使ってしまうんです。
これを「代償動作」と言います。
例えば…
- 背筋を伸ばそうとすると 腰ばかり反る
- 肩甲骨を寄せたり動かしたいのに 首や肩に力が入る
- お尻を使いたいのに 太ももばかり疲れる
一見ちゃんと動いているように見えるけれど、本来使うべき場所が使えていない状態。
これが続くと、思ってもいない場所に負担がかかって、痛みや疲れ、さらには姿勢の崩れにつながってしまうんです。
じゃあ、なんで「動かしたい場所」が動かないの?
「動かしたいのに動かない」には、大きく3つの原因があります。そして厄介なことに、これらは単独ではなく、絡み合っていることが多いんです。
身体が固まって動きにくい

長い間使っていない筋肉や関節は、少しずつ硬くなっていきます。そのせいで動きにくくなったり、腰や膝に余計な負担がかかることも。背骨周りや股関節が硬くなると、スクワットや背伸びも思うようにできません。
動かす感覚がわからない

「ここを動かす」って感覚、覚えていますか?長く使っていない部分は、脳からの指令がうまく届かず、つい違う場所で動かしてしまうこともあります。脳と身体のつながりがちょっと弱くなっている状態です。
支える筋力がちょっと足りない

体幹や関節周りの筋肉が弱いと、動きがふらつきやすく、つい別の場所で補おうとしてしまいます。土台がぐらつくことで、日常動作や運動も安定しにくい状態です。
そして、これらは悪循環になる
そして、この3つの原因が重なると…

だから、「意識すればできるはず」と思って頑張っても、なかなか変わらない。それどころか、代償で動いている場所ばかりが疲れたり痛くなったりして、「やっぱり私には無理なのかな…」と感じてしまうこともあるかもしれません。
でも、それはあなたのせいじゃないんです。
じゃあ、どうすればいいの?―悪循環を断ち切る3つのアプローチ
ここからは、この悪循環を断ち切るための具体的な方法をお伝えしていきますね。
大切なのは、3つの原因それぞれにアプローチすること。そして、焦らず段階的に進めることです。
アプローチ① 固まった身体を「ほぐす」

まずは、動けない状態になっている部分をほぐして、動ける状態に戻していきましょう。
ストレッチで関節の動きをスムーズに
股関節、肩甲骨、胸椎など、固まりやすい部分を中心にストレッチを。ゆっくり、呼吸を意識しながら行うのがポイントです。
テニスボールやマッサージガンで直接ほぐす
筋肉が硬くなっている部分に、テニスボールを当てて体重をかけたり、マッサージガンで直接刺激を与えると、より効果的にほぐれていきます。
「痛気持ちいい」くらいの強さで、無理はしないでくださいね。
アプローチ② 感覚を「思い出す」

脳と身体をつなぎ直して、動かす感覚を取り戻しましょう。
まずは「触る」ことから
動かしたい部分を、自分の手で触ってみてください。
例えば、太ももに手を当てて、ゆっくり膝の曲げ伸ばしをしながら「ここが動いてる」と感じてみる。
この「触る」という行為が、触覚を通じて感覚神経を刺激し、脳に「ここだよ!」というポジティブな情報を送ってくれるんです。
すると、脳から筋肉への指令(運動神経)も活性化されて、だんだん「ここを動かす」という感覚が戻ってきます。
動きを「分解」して練習する
いきなり複雑な動きをするのではなく、肩だけ、膝だけなど一つの関節の動きから始めましょう。ひとつひとつの関節を、意識的に、ゆっくり動かす。これが「動かす感覚」を再学習する近道です。
鏡や動画でチェックする
自分では「できてる」と思っても、実際には違う場所が動いていることも。鏡を見たり、動画を撮って確認すると、「思っている動き」と「実際の動き」のズレに気づけます。
アプローチ③ 支える力を「育てる」

支えるための筋力をバランスよく育てて、フォームを安定させましょう。
軽い負荷から始める
重いウェイトは必要ありません。むしろ、筋力が弱いので壁に手をついて行うプランクなどフォームが崩れない軽めの負荷から始めて、正しい動きを繰り返すことが大切です。
単関節の運動から段階的に
いきなり複雑な動きではなく、ひとつの関節を動かす運動(単関節運動)から始めて、少しずつレベルを上げていきましょう。
土台がしっかりしてくると、複雑な動きも安定してできるようになっていきます。
ただし…「正しい動き」がわからないと難しいことも
ここまで読んで、「よし、やってみよう!」と思った方もいれば、「でも、正しい動きって何?」「自分ひとりでできるかな…」と不安になった方もいるかもしれません。
実は、ここが一番大切なポイントなんです。
自分では「できている」と思っていても、実際には代償動作をしていたり、違う場所に力が入っていたりすることは本当によくあります。
特に、長年染み付いた身体のクセは、自分では気づきにくいもの。だからこそ、客観的に見てもらうこと、専門家にチェックしてもらうことが、実はとても効果的なんです。
最後に…焦らず、丁寧に、少しずつ
「正しく動けない」って、自分を責めたくなることもあるかもしれません。でも、それは決してあなたのせいじゃない。
身体が長年かけて作ってきた”動きのクセ”や”逃げ道”が、そうさせているだけ。
だからこそ、焦らず、丁寧に、少しずつ。
「今日は昨日より少しできた」
そんな小さな変化を、どうか大切にしてくださいね。
身体は、ちゃんと応えてくれますから。
👉 動きにくいところを、別の場所でカバーしようとする
👉 でもそのせいで、本当に動かしたい場所はますます使われなくなる
👉 結果、身体のバランスがどんどん崩れていくんです
バランスが崩れると、さらに固まって、さらに感覚がわからなくなって、さらに支える力も弱まっていく…。
まさに、悪循環のはじまりです。