肩関節の怪我の原因になる筋肉

肩の痛み

ある年齢を超えると肩が上がりにくいとか肩が痛いとか、いわゆる四十肩、五十肩と呼ばれる症状が出てきますよね。

トレーニングで身体を動かしていても意外に肩を痛めてしまう方も多くいます。

実は私も一時期肩を痛めた経験がありました。肩を集中的にトレーニングしたというわけではなくて、原因は実は別のところにあったのです。

今回は、そんな肩の怪我の原因になってしまう筋肉のお話です。

複雑な肩の構造

一般的に肩関節と呼ばれる部分は、肩甲骨と上腕骨をつなぎ合わせる肩甲上腕関節のことを指しています。

しかし、腕の部分は下の図のように胸骨と呼ばれる胸の中心の骨に鎖骨がつながる胸鎖関節、鎖骨と肩甲骨がつながる肩鎖関節、肩関節である肩甲上腕関節といくつかの骨が関節でつなぎ合わさった構造です。

肩の骨と関節

肩甲骨から腕にかけては体幹部分には鎖骨でしかつながっておらず、肩甲骨部分は肋骨の上に乗っかっているような格好になっています。

浮かんだような格好になっている肩甲骨には、体幹や腕からの筋肉など合わせて17種類の筋肉が上下左右様々の方向から付いています。

筋肉は、肩甲骨自体を動かすアウターマッスルや肩甲骨をベースにして肩関節を安定させるインナーマッスルまで、肩甲骨の動きに関係したり、肩甲骨の安定に関係したり、また肩関節を支えるものまで働きも様々です。

同じような球状の骨がつながっている股関節に比べて、肩関節周りに多くの筋肉があるのは肩関節の不安定さが関係しています。

肩関節はほぼ360度に近い可動域があるため、他の関節のように関節の可動域を制御する靭帯がかなりゆるい状態でついています。

他の関節であれば靭帯が関節のズレを防ぎますが、肩関節は靭帯がズレを防ぎにくく筋肉によって関節がズレないようにコントロールしているわけです。

微調整をしながら動いてくれるインナーマッスルが、腕の骨と肩甲骨を適切な位置関係に安定させて肩の動きをなめらかにしたりズレて筋肉を痛めたりしないようにしてくれているんですね。

筋肉のバランスの崩れによる怪我

正常にインナーマッスルとアウターマッスルが動いて関節を安定させてくれていれば、肩関節の怪我は起こりません。

ところが、関係する筋肉は多いためにバランスが崩れ始めるとかえって怪我を誘発します。

巻き肩による肩関節の巻き込み

パソコンやスマホが原因と言われる巻き肩は、肩関節を前方に引っ張ってアンバランスを起こします。

巻き肩は、肩甲骨を前方に引っ張る前鋸筋と小胸筋、鎖骨を下側に上腕骨を内側に引っ張る大胸筋が緊張して硬くなっている状態で起きやすくなります。

上腕骨が前方に引っ張られるため肩関節が少し前にズレて内側に巻き込まれ、腕を外側に回旋する動きが出にくくなります。

この状態で両手を上に上げようとすると首をすくめるような動きになるため、首周りが緊張して肩関節ではなく鎖骨を引き上げるような動きになり、肩こり首コリなどが起きて更に肩周りの筋肉が固まっていきます。

肩甲骨や上腕骨の動きが制限されてインナーマッスルの動きも悪くなり、肩関節の動きが安定しなくなり痛めてしまいます。

背面の筋肉の硬直によって起こる肩関節のズレ

肩甲骨の外側脇の下辺りには、広背筋や大円筋などの筋肉があります。これらの筋肉が硬くなってしまうと肩甲骨の動きを阻害したり、肩関節の可動域を制限したりします。

肩関節は、肩甲骨と上腕骨をつないでいる関節なので、肩甲骨の動きに支障が出ると肩関節を動かす時の上腕骨との一定のリズムが崩れてしまい、肩関節のズレ始めます。

関節がズレると肩関節をコントロールしている回旋筋腱板と呼ばれるインナーマッスルが関節に挟まれたり、本来はぶつからない骨同士がぶつかったりして怪我に繋がります。

厄介なのは巻き肩に比べると見た目の変化があまりないために気づきにくいということです。

特に、肩甲骨と上腕骨のリズムのズレがある時にベンチプレスやラットプルなどのトレーニングを行うと少しずつ悪くなってしまう場合があるんですよ。

せっかくのトレーニングがかえって怪我の原因になってしまうのは悲しいですよね。

筋肉をしっかり整えよう

肩関節に特に影響を及ぼすのは、胸周りと脇の下の筋肉でした。

巻き肩については、ストレッチやマッサージなどでしっかり緩めた後に、引っ張られて弱くなってしまっている背中周りの筋肉をしっかり動かすことが大切です。

巻き肩の人が本来の肩関節の位置に戻るとかなり気持ち悪く感じるぐらい肩は前にズレているので、違和感を感じやすくついつい戻ってしまうということがあります。

姿勢を改善するなど巻き肩に戻らないように気をつけてくださいね。

背中周りに関しては、肩甲骨を挟むようにして力を加えると固まっている人はかなり痛く感じます。

ストレッチポールなどを使ってしっかりと解してあげるようにしてください。

また、トレーニング後は筋肉が収縮しやすい状態になっているのでしっかりと伸ばしてあげることが大切ですよ。

トレーニングが怪我の原因にならないように気をつけてくださいね。

まとめ

筋肉から肩関節の怪我について見ていきました。

怪我じたいは関節に合ったとしても、その原因は筋肉であることが意外に多いです。

姿勢が明らかに悪かったり、動きに違和感を感じたりした場合は、ストレッチやマッサージでしっかりケアしてあげてください。

すでに痛みが出ているときには、まずはお医者さんに相談して処置をしてもらってくださいね。

できれば、理学療法士さんにリハビリしてもらったほうが原因がわかって早く改善しますよ。